海外FX業者は信頼性が気になるものです。口座開設をする前に、その業者が信頼できるかどうかをみる目安として「金融ライセンスを取得しているかどうか」を参考にするといいでしょう。
現在営業を行っている会社全てがライセンスを所持しているわけではありません。ライセンス不所持のまま営業をおこなっている会社もあるのが現状です。そんな中で、金融ライセンスを所持していることは、一定基準を満たしている業者だと考えられ、信頼性、安全度も高くなります。
もちろん金融ライセンスも、登録の難易度や監視体制の厳しさといった点からみると、様々なものがあり、すべてが同レベルではないのです。
この記事では海外FX業者のライセンスについて解説していきます。
海外FX業者の金融ライセンスとは
海外FX業者が金融業務を行うにあたって、金融監督機関への登録申請を行い、認可されて営業許可をもらうことを金融ライセンスといいます。日本だと、金融庁(FSA)が金融監督機関に該当します。
申請すれば全ての会社が認可されるわけでなく、一定の基準をクリアする必要があるので、金融ライセンスを所持することがその信頼性を担保することになるといえるでしょう。
・十分な資本金、資金力、財務力が健全か?
・リスクマネジメントや管理体制は十分か?
・分別管理、信託保全はあるか?
・顧客に対するリスク説明義務はなされているか?
・顧客情報の管理は厳正・厳密であり、漏洩がないようにしているか?
上記基準をクリアしてライセンスが与えられます。
金融ライセンスを所持していることは、その国からの、そのFX会社が安全性があり、営業を行っても大丈夫であるということを金融監督機関に保証してもらえたということになります。
ただし、金融ライセンスといっても、国によって取得難易度が異なります。簡単に取得できるところもあれば、非常に難易度の高いところまで千差万別です。
取得が難しいライセンスの方が信頼性は高い
国によって、取得がしやすいもの、審査が厳格で難しいものもあります。難易度の高いライセンスを取得することでアピールにもつながります。特に厳格だといわれているのが5つの金融規制当局が発行したライセンスです。
1,FCA英国金融行為監督機構
2,CySECキプロス証券取引委員会
3,IFSCベリーズ国際金融委員会
4,FSPニュージーランド
5,ASICオーストラリア証券投資委員会
上記5つのライセンスは世界でももっとも厳しいといわれるので、これらのライセンスを所持しているのであれば、FX会社としての信頼度は非常に高いといえるでしょう。
1 FCA英国金融行為監督機構とは
世界でも最も厳しい管理を行っていることで知られています。FCAを持っているだけでステータスが上がります。金融行動監視機構(FCA:Financial Conduct Authority)はイギリスイングランド中央銀行のBOEが2012年に設立しました。
FCA管理下にある会社は、入出金が自動処理されるシステムが構築されているため、不正ができない仕組みになっているので、出金拒否などの出金トラブルも皆無です。
Traders Trust、LANDFX、FxNet、HOTFOREX
2 CySECキプロス証券委員会とは
CySECキプロス証券委員会は、ライセンス難易度が高く厳しい基準があります。
CySECライセンスを取得する場合、最初に「ICF」といわれる補償機関に入らなくてはいけません。
ICFは常にプール資産を保持しており、顧客の資産に不利益があった場合に、返金保証され、その金額は最大で20.000ユーロまでの補償となっています。
FXGLOBE、Fxnet、FxPro、iFOREX、TradersTrust
3 IFSCベリーズ国際金融委員会とは
IFSCベリーズ国際金融委員会も、金融ライセンス取得は難しいとされます。
トレーダーの10%の資金が保証金基金にあてられ、本体と分離された銀行で保管されています。トラブルがあったとしても、上限金額の20.000USDまでが補償される仕組みで、顧客資産保護を非常に重要視しています。
Axiory
4 ニュージーランドFSPライセンスとは
ニュージーランドライセンスFSP(Financial Service Provider)はFCA英国ライセンスと比較すると、登録しやすくライセンシーになるのは容易です。
トレーダー資金の分別管理はしっかりとされているものの、信託保全は導入されていません。
昔は、評価が高くなく、評判も良くありませんでしたが、2015年の10月頃に、今までの方針を改めて厳格な規制強化を行いました。その結果155もの登録業者のライセンスをはく奪する事態となり、一気に評価を高めました。
現在登録できている業者は、厳しく基準をクリアしているためそれなりのレベルは保っています。
FSPライセンスに登録している海外FXブローカー
LANDFX、TitanFX、Gemforex
イギリスFCA、キプロスCySecよりもFSPニュージーランドライセンス登録の方が基準がやや緩いため、FSPに登録しているのは新興会社が割合的に多いです。
(LANDFX:2013年創立、TitanFX:2015年創立、Gemforex:2019年ライセンス取得)
5 ASICオーストラリア証券投資委員会
日本国内ではそれほどメジャーではないものの、不正防止に関する厳しい規定がとられている評価の高いライセンスです。
登録会社:Fortrade IFCmarkets、AVATRADE、
海外FX業者のライセンスはどうなっている?
続いて大手の海外FX業者のライセンスについてまとめました。
XM:セーシェル金融庁(FSA)
LAND-FX:英国金融行為監督機構(FCA)、ニュージーランド証券投資委員会(NZFSP)
Gemforex:ニュージーランド(FSP)
AXIORY:ベリーズ国際金融サービス委員会(IFSC)
FxPro:キプロス証券取引委員会(CySEC)、英国金融行為監督機構(FCA)、ドバイ金融サービス機構(DFSA)、バハマ証券委員会(SCB)
TitanFX:ニュージーランド証券投資委員会(NZFSP)
HotForex:キプロス証券取引委員会(CySEC)、セントビンセント・グラナディーン金融庁、南アフリカ金融サービス委員会
FBS:ベリーズ(IFSC)、キプロス(CySEC)
iForex:英領ヴァージン諸島(BVI)、ハンガリー
Tradeview:ケイマン諸島(CIMA)
Revtrading:Comoro FSA(コモロ金融庁)
世界中の金融ライセンスが多岐に渡っていることが分かります。大手や有名なところが難易度の高いライセンスとは限らないのが大城いところです。グループ会社によっては、地域ごとに異なる金融ライセンスを所持している場合もあります。
XMの金融ライセンス
XM「Trading Point Of Financial Instruments」は、欧州10ヶ国で、MiFID(欧州金融商品市場令)に準拠した金融業者登録しており、セーシェル金融庁から金融ライセンスを取得しています。
・セーシェル金融庁
ライセンス番号:SD010
ライセンス取得日:2016年2月8日
Gemforexの金融ライセンス
元々ノーライセンスで不安視されていたゲムフォレックスも2019年にニュージーランドにて取得してから一気に評価が高まった。
ライセンス番号:FSP564306 ライセンス取得日:201696月
LandFxの金融ライセンス
・日本人向け会社名:Landprime Ltd
所在地:セントビンセント・グレナディーン
金融ライセンス:セントビンセント・グレナディーン金融監督庁(SVGFSA)
ライセンス番号:23627 IBC 2016
・英国 金融行為監督機構(FCA)から取得
FCAライセンス保有業者の口座に預託されている投資家の資金は、FSCS(金融サービス補償機構)によって最大5万ポンド(約650万円)まで補償される。
ライセンス番号:709866
ライセンス取得日:2016年6月7日
・ニュージーランド証券投資委員会(NZFSP)から取得
ライセンス番号:FSP264385 ライセンス取得日:2013年3月17日
グループとしては、イギリスFCAライセンスを取得したのが評価を高めるきっかけになりました。元々アジア中心に展開していたが、EU圏への進出面を踏まえて、ブランド力のあるFCAを取得したようです。
HotForexの金融ライセンス
HF Marketsグループのブランドとして世界展開しており、キプロスの金融ライセンスを取得しています。
キプロス証券取引委員会(CySEC):企業登録No.277582 / ライセンスNo.183//12
セントビンセント・グラナディーン金融庁:企業登録No.22747 / ライセンスNo.2015
南アフリカ金融サービス委員会:金融サービス業登録no.46632
FxPro(FXプロ)の金融ライセンス詳細
FxProは、キプロス証券取引委員会(CySec)と英国の金融行為監督機構(FCA)から金融ライセンスを取得しています。
・キプロス証券取引委員会(CySEC)から取得している金融ライセンス
ライセンス番号:078/07
ライセンス取得日:2007年3月5日
業者登録番号:181344
・英国 金融行為監督機構(FCA)にて取得
FXPRO UK LimitedはFCAからライセンス取得
(登録番号:509956 登録年月日:2010年8月18日)、
FXPRO Financial Services LTD.はMiFID(欧州金融商品市場令)に準拠。
(登録番号:477418 登録年月日:2008年1月8日)。
TitanFXの金融ライセンス詳細
ニュージーランド証券投資委員会(NZFSP)にて取得済です。信託保全も導入しており、資金は、ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の信託口座で管理されています。
ライセンス番号:FSP388647 ライセンス取得日:2014年7月22日
AXIORYの金融ライセンス詳細
ベリーズ国際金融サービス委員会(IFSC)の金融ライセンスを取得済み。
ライセンス番号:IFSC/60/255/TS/14 ライセンス取得日:2013年12月27日
分別管理・信託保全とライセンスとの関連性
分別管理とは、「顧客から預った資金」と「FX業者の運営資金」を別々の銀行口座で管理を行い、顧客の資産をFX業者の運営資金として使わない資産管理法のことです。
信託保全とは、「顧客から預った資金」と「FX業者の経営資金」を別々の銀行口座で管理し、「顧客から預った資金」を信託法人などに管理させ、FX業者の運営資金として使えなくするという資産管理法です。
難易度の高いライセンスを取得している会社は、信託保全を導入しているケースが多いです。
国内FX業者の場合は、金融庁の規制にとって信託保全が必須となっていますが、海外FX業者の場合には、信託保全は基本的に任意となっています。
FX業者 分別管理 信託保全
XM 〇 〇
AXIORY 〇 〇
MYFXMarkets〇 〇
HotForex 〇 〇
TitanFX 〇 なし
iFOREX 〇 なし
GEMFOREX 〇 なし
FBS 〇 なし
XLNTrade 〇 なし
is6com 〇 なし
そんな中、ちゃんと信託保全を導入しているのがXM、AXIORY、HotForex、MYFXMarketsといった会社です。
世界の金融規制当局一覧
アイルランド | アイルランド中央銀国 | CBI |
アメリカ | 米国商品先物取引委員会 | CFTC |
アメリカ | 金融業規制当局 | FINRA |
アメリカ | 米国先物協会 | NFA |
アメリカ | 証券取引委員会 | SEC |
アメリカ | 証券投資家保護公社 | SIPC |
アメリカ | 連邦預金保険公社 | FDIC |
アメリカ | 外国口座税務コンプライアンス法 | FATCA |
UAE | ドバイ金融サービス機構 | DFSA |
UAE | UAE中央銀行 | U.A.E |
UAE | エミレーツ証券コモディティ局 | SCA |
アルゼンチン | 証券市場国家委員会 | CNV |
イギリス | 金融行動監視機構 | FCA |
イスラエル | イスラエル証券庁 | ISA |
イタリア | CONSOB | CONSOB |
イタリア | イタリア銀行 | BI |
インド | インド証券取引委員会 | SEBI |
インド | 中央保管サービス所株式会社 | CDSL |
インド | 国営証券保管所 | NSDL |
インドネシア | 商品先物取引規制庁 | CoFTRA |
ウクライナ | 国家証券と株式市場委員会 | NSSMC |
ウクライナ | OTC金融商品技術開発ウクライナセンター | UCRFIN |
エジプト | エジプト金融監督庁 | EFSA |
エストニア | 金融監督庁 | FSAEE |
エストニア | 経済通信省 | MKM |
オランダ | 金融市場局 | AFM |
オーストラリア | オーストラリア証券投資委員会 | ASIC |
オーストラリア | オーストラリア規制諮問機関 | APRA |
オーストラリア | オーストラリア取引調査分析センター | AUSTRAC |
オーストリア | 金融市場局 | FMA |
カタール | カタール中央銀行 | QCB |
カナダ | カナダ投資業規制機構 | IIROC |
カナダ | CIPF(カナダ投資保護基金) | CIPF |
キプロス | キプロス証券取引委員会 | CySEC |
ギリシャ | 資本市場委員会 | CMC |
クウェート | クウェート商工会議所 | KCCI |
クロアチア | クロアチア金融サービス監督機関 | HANFA |
グルジア | ジョージア国立銀行 | NBG |
ケイマン諸島 | ケイマン諸島金融庁 | CIMA |
ケニア | ケニア資本市場局 | CMA |
サウジアラビア | 資本市場当局 | CMA |
シンガポール | シンガポール金融管理庁 | MAS |
ジブラルタル | 金融サービス委員会 | FSC |
ジャマイカ | 金融サービス委員会 | FSC |
スイス | 金融市場監督庁 | FINMA |
スウェーデン | 金融監督庁 | FSA |
スペイン | スペイン証券市場委員会 | CNMV |
スリランカ | ケイマン諸島金融庁 | CBSL |
スリランカ | スリランカ証券取引所委員会 | SEC |
セントビンセント・グレナディーン | 金融サービス庁 | FSA |
セントビンセント・グレナディーン | セントビンセントグレナディーン商務知的財産権庁 | CIPO (VC) |
セーシェル | 金融サービス庁 | FSA(SC) |
タイ王国 | サイアム商業銀行株式会社 | SCB |
タイ王国 | タイ銀行 | BOT |
チェコ | チェコ国立銀行 | CNB |
デンマーク | 金融監督庁 | DFSA |
トルコ | トルコ資本市場委員会 | CMB [SPK] |
ドイツ | 連邦金融監督庁 | BaFin |
ニュージーランド | 金融サービスプロバイダレジスター | FSPR |
ニュージーランド | ニュージーランド証券取引所 | NZX |
ニュージーランド | 金融トラブル解決サービス | FDRS |
ノルウェー | ノルウェー金融監督局 | NFSA |
ハンガリー | ハンガリー金融監督庁 | HFSA |
ハンガリー | ハンガリー中央銀行 | CBH |
バヌアツ | バヌアツ金融サービス委員会 | VFSC |
バハマ | SCB – バハマ証券委員会 | SCB |
バハマ | バハマ証券委員会 | SCB (BS) |
バーレーン | バーレーン中央銀行 | CBB |
パキスタン | パキスタン証券為替委員会 | SEC |
パナマ | 証券監督 | SMV |
フィリピン | 菲律賓證券交易委員會 | SEC |
フィンランド | 金融監督庁 | FINFSA |
フランス | 金融市場局 | AMF |
フランス | 信用機関投資会社委員会 | CECEI |
フランス | 金融企業登録庁 | REGAFI |
フランス | プルデンシャル統制決議 | ACPR |
ブラジル | ブラジル証券委員会 | CVM |
ブルガリア | ブルガリア国立銀行 | BNB |
ベリーズ | 国際金融サービス委員会 | IFSC |
ベルギー | 金融サービス市場局 | FSMA |
ボツワナ | NBFIRA | NBFIRA |
ポルトガル | ポルトガル証券市場委員会 | CMVM |
ポーランド | ポーランド金融監督庁 | PFSA |
マルタ | マルタ金融庁 | MFSA |
メキシコ | 国家銀行証券委員会 | CNBV |
モロッコ | モロッコ金融市場局 | CDVM |
モーリシャス | 金融サービス委員会 | FSC |
ヨルダン | ヨルダン証券委員会 | JSC |
ラトビア | 金融資本市場委員会 | FCMC |
リトアニア | リトアニア証券委員会 | LSC |
ルクセンブルグ | ルクセンブルク金融監督委員会 | CSSF |
ルーマニア | ルーマニア国家証券委員会 | CNVMR |
レバノン | レバノン中央銀行 | BDL |
レバノン | アラブ連邦交換所 | AFE |
ロシア | 証券市場連邦委員会 | FCSM |
ロシア | ロシア自主規制機関 | CRFIN |
ロシア | ロシア証券市場参加者国民連合 | Naufor |
ロシア | 金融市場関係規制センター | CROFR |
ロシア | ロシア中央銀行 | CBR |
ロシア | ロシア銀行協会 | ARB |
ロシア | ロシア地方銀行協会 | ASROS |
ロシア | 金融市場規制関係センター | CROFR (ЦРОФР) |
ロシア | フィナンシャルマーケットセンター | FMRRC |
中国 | 中国証券監督管理委員会 | CSRC |
中国 | 金融監督委員会 | FSCEY |
南アフリカ | 金融行動監視機構 | FSCA |
日本 | 日本証券業協会 | JSDA |
日本 | 金融庁 | FSA |
英領バージン諸島 | 金融サービス委員会 | FSC |
韓国 | 韓国先物取引所 | KRX |
香港 | 証券先物委員会 | SFC |
香港 | 金融委員会 | FinCom |
金融ライセンスのまとめ
金融ライセンスは難易度の高くほとんど認可されないところから、簡単にライセンシーになれるところまで実に様々です。ライセンスがあることが絶対条件ではありませんが、少なくとも取得しているかどうかが信頼性を計るひとつの指標ととなることははっきりとしています。
海外FX業者を選択する際は、条件の一つとして金融ライセンスの有無を確認しておくと安心度が高まります。